電気を発する細胞で

三月になった。今月からの執筆予定がわりと鬼なので、体調を崩さないよう、運動不足に陥らないよう、座ったままでも電気刺激でビックンビックン筋肉を動かしてくれるEMSを買った。二万円した。

説明書に人体図が描いてある。人体図をようく見ながら、自分の皮膚の下の筋肉がどうなっているのかを想像し、動かしたい筋肉を狙ってパッドを貼り付ける。ふぬっ!とか力を入れてみて、そこにちゃんと筋肉があるのかどうか探る。そんでスイッチを入れる。昭和っぽい銭湯の電気風呂みたいな、ビィ〜〜〜ン、という刺激がある。結構気持ちいい。

面白くなってきたので、筋肉がビィ〜〜〜ンいうとる状態のまま動き回ってみたらどうなるのかなとか、二の腕の筋肉が電気刺激によって勝手に動いてる状態でドラム叩いたらどうなるのかなとか、色々実験した。結果、電気によって勝手にビィ〜〜〜ンいわされてしまう不随意運動がやまないまま、そこに随意の運動が加わる感じだった。ドラムで例えると、ビィ〜〜〜ンいわされながらドコスコいう感じだった。いわされながらもいう感じだった。

「心臓をはさんで電気を流すと危ないのでやめてくださいね」とか、結構こわいことが書いてある。心臓だって筋肉のかたまりなのである。高校の頃に生物の教科書で見た、カエルの筋肉の図を思い出す。おれたち生き物は、筋肉を電気で動かしながら生きている。電動生物おれたち。頭の中にだって電気信号が流れているみたいな話を聞いたことがある気がする。

生きること、いわばマッスルエレクトリカルパレード。