「大根、重そうだね。主婦は大変だ」
「主婦じゃないです」
「失礼、失礼。女性は大変だ」
いや、飯食って生きてくことが大変だってことなんじゃないんですかね。
そんな一幕の後、薔薇を買った。
「赤は少し古いよ。他の色は新しい」
センスではなく、花の鮮度の話だった。正直に教えてくれる店主だった。
「ま、ドライフラワーにしちゃえばいいですからね」
すでに切られてもう命をつなぐことができないとわかっている花たちはどんな思いで聞いたのだろうか。散ったら、燃えるゴミじゃなく、庭に埋葬しようと思った。
「赤を一本、黄色いのを三本、ください。」
そう言った時、何か自分の意思でないものがはたらいたのを感じた。そういうことはたまにある。身を任せたほうがいい。
四本の薔薇を買って、フォアローゼスの瓶に活けようと思っていた。でもわたしは日本酒と黒糖焼酎の方が好きなので、家には、フォアローゼスのでかい空き瓶なんかない。コンビニで売ってるちっちゃいトリスの空き瓶しかない。ちっちゃいトリスに四本の薔薇を突っ込もうとした。微妙に入り切らなくて、ボトルネックのところで詰まっちゃったみたいになった。
わたしらしさ❤️💛💛💛
と、思った。