夢日記、つけても別に狂わない

「夢日記をつけると虚実の別が付かなくなって狂ってしまう」みたいな話を聞くけどあれは嘘だ。夢日記を十数年つけているわしが言うのじゃから間違いない。

夢日記を十数年つけているわしから言わせてもらうと(オホン)、狂うまでのプロセスは次の通りの4ステップだと思う。

夢日記つける

夢覚えてる率が高くなる

★自分がめちゃくちゃ残酷だったり卑猥だったりする夢を見ていることを知ってしまう

自分の人格ほんとはこんなレベルなん?自分はほんとはこんなことを欲望してるん?嘘やん、嘘やん、自分、誰?自分わからん、自分むり〜〜〜、ってなる

重要なのは★の部分で、わたしもわたしがだいぶむりになったのだが、このような自分無理ネス(自分無理-ness)(星屑ロンリネス)から少しでも離脱するために本を読みまくるなどしたところ、「エロスとタナトス」っていう概念を知り、「エロ・グロ・ナンセンス」っていう古い流行語も知り、「快くなくエロくてグロい夢を見るのはおれがクズだからじゃなくておれが生命体だからじゃん?自分の意思として“生まれたい”と言った覚えは特にない自分がまるでルーレットにぶち込まれる銀玉みたいにエロスという赤い生とタナトスという黒い死の連環をグルングルンさせられている、動かしたいと思ってないのに心臓が動いていて流したいと思ってないのに体内を血が流れている、生きることが不随意運動である、そういう中にあって、エロいことしたいとか死にたいとか欲望するのは“せめて赤に入るか黒に入るかくらいは自分で選んでいるもんだと錯覚させて欲しい、このような大いなる情動に律動に転がされ続けるのがこわい”っていう、なんか、“すんごい大風に煽られている飛行機の中で必死で操縦桿を取ろうとする感じ”みたいな、“大海に揉まれながらも自分はちゃんと自分で泳いでますけどみたいな顔をする感じ”みたいな、そういうもんなんだと思うんだよな」ってなった。

要約すると、言い訳めいた長い言葉で「エロとかグロの夢を見てもオッケー」という許可を自分で自分に与えた。

そうしたら、「快くないエロとかグロの夢」を見なくなった。

多分、自分で自分に許可を与えたことにより抑圧が解かれて欲望が揮発したんだと思う。

精神の換気である。

それでもやっぱり空気の通りにくい部屋というのはあって、その中の一種が、「使役されて労働すること」にまつわる夢である。

おとといは夢の中の家電量販店でバイトをしていた。洗濯機が10%オフだと叫び、通行人の注意を引き、洗濯機を販売し、店の売り上げを上げることなしには、社員さんがボーナスなしにされてしまうのだ、ということでわたしは一生懸命洗濯機を売っていた。でも売りながらちょっと腹が立ってきた。わたしが頑張っても別にわたしの時給は上がらないからだ。あと、バイトの身にボーナスなんてものはハナからないし。それに、「洗濯機が10%オフですよ」と呼びかけられて「あらまあ」となって洗濯機を買うようなことを繰り返していたら、なんていうかエコじゃないわけだし。全てが社員さんの都合、ひいては人間社会のシステムの都合であり、なんしてんの?おれら宇宙の中にいるのに。という感じなわけだし。

金くれねえかな?10%オフだと叫んでいるのは社員さんじゃない、バイトのおれだ。

ってなってキレながら起きた、使役されて労働される夢に時給が発生しないのはマジで毎回腹が立つ、おかねくれよ、おかねくれよってなった。おかねで買ったこめをくった。あさごはん(有料)である。

あさごはん(有料)を食したのち、資料(有料)を読んで、原稿(有料)を書き、コーヒー(有料)を飲み、水道水(有料)および石鹸(有料)を使用してコーヒーカップ(有料)を洗い……

なんやかやあって眠る。

夢の中で、7000万円振り込まれていた。

極端かよw

って思った。目が覚めても、ちゃんと覚えている。